茶の湯 ー 昔の食事風景と懐石

上は水巻町歴史資料館(福岡県)のWebページを撮影したもので、戦後の手桶です。
この形の手桶は全国に広くあったと思いますが、井戸から家の中に置いてある水がめまで水を運ぶのに使われましたし、据え風呂の水くみ、行水盥兼洗濯盥への水くみなどにも使われました。欠点は「重いこと」で、水も重いですから、たいへんな作業でした。
ところで、一人一人が「自分専用の」膳と食器、箸で食事するのは古くからの伝統で、箱膳もその一つです。
でも、箱膳だけ使われたわけじゃなく、木具膳という簡素な作りの膳も普通に使われたし、あるいは、子どもなんかは膳が与えられる前に、盆が代用されたりもしました。
で、どの膳を使っても共通して言えることですが、食後に食器も箸も「洗わない」ってことです。アノ、蛇口をひねれば水が出るって時代になる前は、シンクも無かったし、「流し」と言ってもですね、現代のように屋外に排水できる設備があるわけじゃなく、そうですネェ、使用後の水は桶に溜めといて外に撒くみたいなことが普通だったでしょうかね、もちろん、街なんかで溝(どぶ)があれば、そこに捨てると思いますが。
そんなわけで、ジャンジャン水が使える環境ではなく、使用後の排水も不便ですから、食後に食器を洗うという発想そのものが出てこないと思います、庶民生活では・・・ですね。
そこでどうするかと言えば、食器類は食後、自分専用の膳に置き、次回の食事の時にまた使うわけです。もちろん、前回食べたままの状態ですから、食器をきれいに保つためにはですね、食べた後、食器に湯を入れ、ゆすいで椀の内側をきれいにし、それから収納したんです。で、ゆすいだ後の湯は飲んでしまいます。そうしないとですね、食べカスのご飯がカチカチに固まって椀にこびりついちゃうからです。陶磁器の「碗」ですと、こびりついた飯を落とすこともマア、できますけど、木製の「椀」ですと、無理に硬化した飯を剥がそうとすれば、椀に傷をつける恐れが大ですね。
さらにていねいにするなら、あるいは貧しくない家では、湯の代わりにお茶などで椀をすすいだり、たくあん漬けなんかで椀の内側を「きれいに拭って」ですね、あと始末をしたわけで、もちろん食器をすすいだ後のお茶は飲んじゃいますし、たくあん漬けは食べちゃいます。マア、たくあん漬けじゃなくても、シナシナする柔らかい漬物なら、たくあん漬けと同じ役目が果たせます。
で、次回は、禅寺での食後の後片付けですが、各家庭と違って「型が決まってる」ようで、そのことも書きたいんですが、それは、禅寺での後片づけが、懐石にすごく影響してると思うからです。